コラム

飼育野生動物栄養研究会からのコラムです。飼育の事、野生動物の事などを発信します。

著:牛田一成
2012年出版。アニマルメディア社。


〇紹介(星野智氏)
農学部出身で,腸内細菌から広がる種々のラボワークに長く従事されていた著者が,
「裏メニュー」として続けたフィールドワークでの経験や出会いを,
実際のフィールド日記をもとに執筆した一冊。
研究内容や研究環境,各国の在来生物,現地での食生活,現地人や他の研究者との関わりが,
著者の思いとともにざっくばらんに綴られている。

微生物や体内生理に関する基礎情報もコラムとしてまとめられており,
フィールドワークへの従事に限らず,飼育下動物の栄養改善を目指す方にも,
ぜひ手に取っていただきたい。


〇著者コメント(牛田一成氏)
もう出版以来10年以上が経ってしまった本です。ネパール,ブータン,モンゴルやアフリカ各国のフィールド調査に出たときには,かなり細かい日記をつけていました。何人かの人にブータン日記とかギニアチンパンジー紀行としてよんでもらっていたら,かなり面白がられたので本にしようという気になりました。

出版は,90年代からブタの保健衛生の仕事でお付き合いのあったアニマルメディア社の岩田寛史さんに相談してお願いしました。

そもそも製薬や食品関連の企業との共同研究,その展開として家畜の栄養や保健衛生の研究に関わっていたのですが,なぜ急にアフリカ?野生動物?となったのかその経緯を書いています。いまほとんどの時間を割いてとりくんでいる野生動物の保全科学にいたった経過を見てもらえると思います。本人としては急にアフリカ,ヒマラヤ,砂漠,野生動物保全となったわけではないのです。記載している技術的なことはすでに一般化したものが多いので,何かの役に立つかはわかりませんが,Lactobacillus gorillaeの新種提唱でお世話になった理研の北原さんから「ある意味少年」と言われた雰囲気はご理解いただけるかもしれません。