2022年度大会参加のお礼
2022年今治大会に、ご参加いただきありがとうございました。長引く新型コロナウイルス感染症の流行状況を考慮しつつ、対面形式にこだわって開催した大会でした。そして、急遽の開催日変更があり、無事開催・終了できたことに安堵し、大変喜ばしく思っています。そして、改めて、このような状況下で、遠路、愛媛県今治の地へ、お越しいただいた会員の方々に深く感謝申し上げますとともに、大会運営委員会の方々のご尽力に、改めて御礼申し上げます。
今回の大会は、陸と海の動物の餌を考えるとのことで、特に海の動物に関しては、野生動物の食性やその行動を知る絶好の機会になったと思っています。動物の生態を解析するにあたって、日々進歩する最新の技術を駆使して得られた科学的データーは、今まで想像の域を超えられなかった内容を現実の事象として描出しており、動物の1つ1つの行動の目的が理解しやすくなり、今回の特別講演で提示された事象によって、動物の巧みな生き残り戦略の一端を垣間見ることができました。
そもそも、飼育野生動物(展示動物)のほぼすべてが生息域外飼育で、生息域の餌環境を再現することは困難で、植物食動物に至っては不可能といっても過言ではありません。そのような中で、従来の飼育方法を踏襲して、かつ、改良して、動物の健康増進と、それに関連する繁殖期間の延長は種の保存という意味で重要です。餌を確保するための行動=生きるための行動、正しく食はそのまま、生につながる重要なコンテンツです。生息域外飼育における餌問題の解決は、なかなか困難ではありますが、本研究会の使命として、これからも、問題を的確に把握し、情報発信することで、様々な分野の方々の共通の課題として、取り組みができるものと思います。併せて、生あるものは、必ず死にますが、死を十分に解析して得られた情報は、今後の飼育に生かされなくてはなりません。死しても、さらに、それを生かすといった考え方が、さらに定着するとよいと思っています。
飼育野生動物栄養研究会は、多様な職域、専門性を有する会員によって構成されています。「餌・栄養」というキーワードのみで、分野の垣根なく議論できる研究会として、これからも長く活動を続けていただけたらと思います。最後に、発表者ならびに座長の方々にお礼申し上げ、挨拶とさせていただきます。
宇根 有美(岡山理科大学獣医学部 教授)