2020年大会参加のお礼
11月14日15日の両日、設立大会を含めると3回目の研究会大会を開催することができました。閉会の挨拶でも申し上げましたが、3回の大会を経過する中で、研究会の方向性が次第にまとまりつつあると感じています。
それぞれの動物種ごとの飼育担当者の集りと、その中での情報共有が活発にされていることは、よく承知しておりました。しかし、飼育を担当する動物種の垣根を越えた情報提供とディスカッションはあまり盛んじゃないのでは、と常々疑ってきました。とくに今回のように動物園と水族館となると、その垣根は思っている以上に大きいと思いました。たしかに畜産学会と水産学会の合同大会なんて知る限りありません。
でも鯨類は、分類上、鯨偶蹄目で、陸棲の親戚筋(遠いですが)の動物もいるわけですし、ウミガメ、ウミヘビ、トカゲの爬虫類も陸上生活をする仲間がいるわけで、もっというなら巻貝は陸上にも住んでいます。自分の担当している動物種に固有の問題と思っていたら、動物園の動物も水族館の動物も親戚筋同志に共通する問題があり、一方の園館では、このように乗り越えたというような経験が役に立つことがあるのではと思いました。生命科学や生物学分野では、基本原理を探るのにきわめて有用なことから「比較○○学」というのがいくつもあります。この研究会は、実践的な場にしていきたいと常々申し上げておりますが、いろいろな個別の飼育経験から、基本原理や原則を導き出せたら、汎用性の高い情報となることが期待できます。ただ、独特に使われる用語の違い、同じ用語でも概念が違う場合をどう乗り越えるのか、もしかして通訳が必要なのかもしれません。
イルカは、祖先がたぶんカバと共通で、おそらく祖先は草食だったはずなのに、海に住むようになって肉食になった。でも消化器の形態は、おおよそその時のままに維持されているのはなぜなんでしょうか。その理由がわかると飼育方法の改善になにか見えてくるものがある気がしています。
牛田一成